好調分野の成長企業を探る! 証券アナリスト 杉山勝彦氏 [番組サマリー]
2006/2/3(金) 17:30 投稿:yamanashi 記事URL トラックバック ( 0 ) コメント ( 0 )
photo by 渡辺タカコ
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杉山 勝彦氏
1943年東京都生まれ。
和光経済研究所(当時)を皮切りに国内外の証券会社で
ハイテクアナリストとして活躍後、
株式会社武蔵情報開発を設立。
日本証券アナリスト協会検定会員。
今日の放送は「好調分野の成長企業を探る!」をテーマに武蔵情報開発証券アナリスト、杉山勝彦氏を迎え、お送りしていきます。
日本企業、元気なところが目立ってきましたが、具体的にどういうところが思いうかびますか?
皆さんご存知の通り、薄型テレビのプラズマディスプレイや液晶は成長がスタートしたばかりですので、これからもまだまだ伸びが期待されます。また液晶と比べ地味ではありますが、工作機械、産業機械、充電器機(モーター、制御機器、測定機器など)もかなり伸びています。
今日はめずらしい産業で航空機産業についてお伺いしたいと思いますが、今なぜ航空機産業に注目されているのでしょうか。
先進工業国には、日本でいえば自動車やエレクトロニクスのような高度加工産業が必ずありますが、ここにきて、欧米諸国にあり日本にない航空機産業がまさに離陸しようとしています。
航空機産業は現在どういった状況なんでしょうか
まず世界的な動きでは2001年の同時多発テロ後、航空機市場は大幅に落ち込みましたが、昨年はエアバス、ボーイングとも過去最高の受注数でした。
それとボーイング、エアバスとも新型機受注が好調です。
(上)エアバスA380
(下)ボーイングB787
そして面白いのが、それぞれの飛行機に両社が対抗機をぶつけており、まさに受注合戦で航空機市場を盛り上げていることです。
また、中国やインドといった国では、国内航空向けの中型・小型機の需要が急増しています。
それと、これまで中〜大型機にシフトしていたものが、環境面なども考慮され、今また中、小型機に戻りつつあります。過去に開発したものなので利益率が非常によく、その部品などを受注する日本企業にも非常に大きなメリットがあります。
そもそも、日本の航空機産業の市場規模はどのくらいなんでしょうか。
日本の航空機産業の市場規模は約1兆円で自動車・エレクトロニクスなどに比べると小さく、また、うち6-7割は自衛隊機ですので民間機について言えば3000-4000億円の規模です。しかし、この新型機A380やB787だけで2009年から2010年には年間約1兆円が日本メーカーにおりてくると見込まれます。このほか防衛庁の航空機需要も盛り上がるため全体の市場規模は現在の2倍、民間機だけをみれば、4倍程の市場が見込まれます。
それではこの新型機のどういう箇所の生産を担っているのでしょうか。
まず主翼部分です。主翼部分を日本メーカーが受けるというのは大変なことなんです。
日本は操縦機器やエンジンはまだまだ弱いですが、機体に関しては世界最高性能を有し、ある意味日本が機体の生産基地といってもよいでしょう。
それでは具体的に注目企業を伺っていきましょう
まず、
三菱重工業(7011)、川崎重工業(7012)、富士重工業(7270)、新明和工業(7224)、日本飛行機(2003年4月 川崎重工業に完全子会社化)が日本の機体5社と言われています。民間機では三菱重工業、防衛庁関係では川崎重工業が強いです。
ボーイング787での日本の関連メーカーはどういったところなんですか?
今回注目すべき点は、三菱重工業が主翼をつくることです。主翼素材に炭素繊維複合材が全面採用されています。炭素繊維はゴルフクラブや釣竿にも使われており、従来のジュラルミン(アルミ合金)よりもさらに軽くて強いのが特徴です。
主翼部分以外ではどのようなところが挙げられますか?
エンジンまわりではIHI(7013)につきます。また、ラバトリー(化粧室)とギャレー(厨房設備)に強いジャムコ(7408)です。面白いことに、従来化粧室は航空機メーカーが発注し、ギャレーはエアラインが発注していたのですが、B787ではボーイングがギャレーも担当するようになり、ボーイングに関しては競争がなくなり、ジャムコの独占受注という形になりました。
それとコックピット・ディスプレイについては、振動や気圧変化の中で乱れない液晶をつくるのにはやはり飛行機に強いメーカーでないと難しいんです。そういう意味で横河電機(6841)が挙げられます。
このほかにも、目にみえないところで日本の技術が使われています。
・逆噴射装置用のカスケード(網状の板)・・・日機装(6376)
・油圧アクチュエータ・・・ナブデスコ(6268)
・座席・・・小糸工業(6747)
などです。
エアバス380で日本企業の注目は
素材系(炭素繊維)では東邦テナックス(3403)と三菱レイヨン(3404)が床構造材の原料を供給しています。航空機用としてはこの2社は初めての供給になるので期待されています。
燃料、貯水タンクを供給する横浜ゴム(5101)は優良仕入先として毎年表彰を受けています。タイヤではブリヂストン(5108)がトップメーカーでしょう。
東レ(3402)はこれまで尾翼の炭素繊維複合材を供給していましたが、主翼用で供給が決まり、これまでと供給規模が大きく変わります。
炭素繊維複合材はB787の主翼のほか、A387の構造材に使われるので、従来の10倍以上の需要が見込まれます。
素材系だと金属も気になりますね。
色々な金属が使われていますが、一番多いのが金属チタンで、日本の加工では神戸製鋼(5406)、住友金属工業(5405)が強いです。特に住友金属工業はA380への供給が決まっています。また、航空機のチタンはある意味稀少金属ですので、市況の上昇も見込めます。
では逆に、懸念材料はないんでしょうか。
一番の懸念点は、A380の開発が遅れていることです。今年6月にインドネシアに1号機を入れる予定でしたが引き渡しが6ヶ月以上遅れることになります。ギャレーなどのインテリアの仕様が決まっておらず、ここでジャムコは下振れすることが考えられますので、決算だけは注意されるとよいと思います。
それと為替です。ドルベースなので、円高になると元気がなくなってしまいます。つまり為替さえ安定していれば民間機での営業利益率10-15%程度まで上昇が可能です。防衛庁向けでは営業利益率は5%が限界ですから是非為替が安定してくれるとよいと思います。
最後にリスナーに一言。
これからまさに日本の航空機産業が羽ばたこうとしています。自動車も魅力的ですが、航空機も負けず劣らず魅力的です。株式投資をやる以上は楽しみながらやっていただきたいと思いますので、航空機産業株にも是非注目してもらいたいと思います。
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