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8月6日番組から [番組スタッフから , 10年8月 怪異な日本史(西山克さん)]

2010/8/6(金) 11:00 投稿:番組営業担当K  記事URL トラックバック ( 0 ) コメント ( 0 )

今月は「怪異な日本史」と題し、関西学院大学文学部教授・西山克さんにおはなしいただきます。

「怪異」とは不思議な現象なことのことで、古文書、とくに日記などの史料からもたくさんの怪異な現象に関する記述をうかがうことができます。西山さんはこういった現象から当時の人々の暮らしや社会の様子を検証しているそうです。今月は「怪異な現象」(すごく平たく言うと「怪奇現象」「妖怪・妖物」などもこれに入るか)についての記載から日本の歴史・当時の人々の生活などを見つめていく4回シリーズです。

今回はその1回目「大織冠破裂(たいしょくかんはれつ)」です。
今回のお話は大化の改新や天智天皇が国を治めていた頃のお話にさかのぼります。


番組の冒頭、西山さんがお話されていたご実家にある「人魚のミイラ」は、何度も取材をうけているそうです。(収録の合間にその新聞記事をみながら、スタッフで大盛り上がりとなりました)

番組の冒頭、西山さんがお話されていたご実家にある「人魚のミイラ」は、何度も取材をうけているそうです。(収録の合間にその新聞記事をみながら、スタッフで大盛り上がりとなりました)

「大織冠破裂」とは怪異な現象のことです。「大織冠」とは当時の冠位(役職)のことですが、この「大織冠」の役職には天智天皇から藤原鎌足しかついていないことから、この呼び方自体が藤原鎌足を指すことがあるそうです。
奈良県桜井市にある紅葉の名所・多武峰(とうのみね)という山にある談山(たんざん)神社は、この藤原鎌足を祀る神社なのですが(もともとは寺院だったが明治時代の神仏分離で神社となった)、ここに藤原鎌足の木造の神像が御神体として安置されています。
この御神体が破裂する現象が度々起こったそうで、その現象は「大織冠破裂」と呼ばれ、その度に多武峰全山が鳴動する(多武峰鳴動)する怪異が起きたそうです。

実際には「木造の像がひび割れを起こす現象」のようなのです。科学が進んだ現代であれば、ある程度「こういう自然現象です」というような客観的分析もできるのでしょうが、古代から中世を生きた当時の人々は自然現象とは思わず、「大織冠が破裂している=祭り神である鎌足が子孫に向けた何らかの警鐘」であると考え、その度に摂関家の氏長者(うじのちょうじゃ)たちが慌てふためいたそうです。政治の中枢にいる子孫たちの政治に対して、ご先祖様が怒っている・不満を持って怒っていると考えたそうです。

大織冠が破裂するたびに、陰陽師を呼び卜占が行われましたが、その判定はいつも凶。古代から中世の社会において、怪異はいつも「近未来の禍々しい出来事の予兆」として判断されていたそうです。
氏長者たちはご先祖様の怒りを鎮めようといろいろ試み、告文(こうもん)と呼ばれる文書を作成し多武峰に送り、神像の前で告文を読み上げる(謝る)ことに成功すると“傷口”は言え、失敗するとあらためて告文を送っていたそうです。

当時の人々にとって、ある程度の科学的分析もままならない時に「御神体に亀裂が入るできごと」は凶事の予兆と感じ、ものすごく恐ろしかったことでしょう(もちろん現代でもそのようなことがあったら恐ろしいですよね。ただ現代では「心霊現象」というような言葉で分類されてしまうのでしょうか)。

ただ、このような出来事を「ご先祖様の怒りや警鐘」と思うことは、ご先祖様を敬い実直に想う心の証であり、現代人にはとても希薄になっている、とても大切なのではないでしょうか。
今回のお話を聴いて、今の私たちがここで生きているということは、私たちは先祖・先代が築いてきた歴史があるからゆえということを今一度思いなおすきっかけにしたいとともに、人と人との「たて」・「よこ」の『絆』を大切にしている当時の人々に尊いと思いました。
今の私たちにもとても大切で学ぶべきことが多いできごとと感じました。

次回は「鳴釜(なりがま)」と呼ばれる怪異についてご紹介します。


 

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