2月12日番組から [番組スタッフから]
2010/02/12(金) 11:00 番組営業担当K

今月は「水産資源(=さかな)を考える」をテーマに、関西学院大学経済学部教授の
東田啓作さんにお話していただいています。
今回はその2回目、「コモンズの悲劇と対策」と題してお話いただきました。

前回は「資源保護のためにも、魚の量、そして子供の魚をとらないようにしなければならない」という背景についてお話いただきました。今回はその続きで、「なぜわかっていても『とりすぎ』てしまうのか」についてお話をいただいています。今回も東田さんのお話を私なりにノート風にまとめてみました。


●なぜとりすぎる? ~コモンズの悲劇~

 たくさんとったら魚がいなくなってしまう、子供の魚をとったら損をする・・・
 →わかっているのになぜ我慢できないのか?

 ・経済学的視点からメカニズムを考えると・・・

 水産資源=「コモンズ」(共有地・共有資源→個人的に占有・所有することが
             できない・難しい資源)
  さかな・・・海の中にいる間は所有権はなく、設定できない。
        個人で特定の水産資源を占有することができない。
 制約がなければ誰でもアクセスできる資源 = 「オープンアクセス資源」
 「漁業権漁業」=限られた人々の集団のみがアクセスでき管理できる
 
 「占有できない」
   ↓
 「自分の目の前にある魚を将来のためにとらずに逃したとしても、他の人がとって
  しまえば何の意味もない」
   ↓
 「その魚をとることから得られる利益をみすみす他の人に与えてしまう」
   ↓
 「人より早くとろうとする傾向・資源をたくさんとってしまう傾向」
   ↓
 『資源を長期的に保護管理しながら利用していこう』という誘因が弱まる
 
  =コモンズの悲劇


●さかなは誰のもの
 だれがさかなをとることができる?
  →海岸から沖約10キロのところにある「共同漁業権」 
   養殖許可に当たる「区画漁業権」 など

 「共同漁業権」・・・一定の漁場を漁業者が共同で利用して漁業を営む権利。
           その漁獲から得られる利益を受け取ることができる。
           漁業者は漁業協同組合の組合員で、この海域では組合員
           以外は漁業を営むことができない。

  漁業権区域の外側の海は? 
   → 漁業の申請を行って都道府県知事や農林水産大臣が許可を与える
     許可漁業 
   = オープンアクセスに近い形

  漁業の海域には漁場をまもるため細かなルールをつくり、
  「インプットコントロール」と「アウトプットコントロール」している。


●「インプットコントロール」 船・網・燃料・労働などをコントロールする

 ①漁期の設定 「○日から△日までしか漁をおこなってはいけない」
 ②時間の設定 「●時から◆時までしか漁をおこなってはいけない」
 ③網をあげる(引く)回数の制限  「1日○回まで網をあげていい」
 ④船の大きさや船の数を制限する
        「ある魚をとるための漁船は▲トン未満でなければならない」
 ⑤使ってよい漁具・網目の制限 
        「網目は8センチ以上→網目から子供の魚が逃げていける」

 →このような試みで過剰漁獲は防げる?
 →「コモンズの悲劇」を解決する術にはならない

●「アウトプットコントロール」 魚そのものをコントロールする
 代表的なものに「TAC」(漁獲総可能量)
 =ある海域のある種類の魚に設定されている、漁獲してもよい最大量。
  その海域で漁業を行う漁船全体の漁獲量。
 →設定総量以上に水揚げできなくなり乱獲ができなくなる?

 TAC制度の問題点 「オリンピック方式」
  海域には最大量が設定されているが、個々の漁船には漁獲量の割り当てを
  行わない
  
  →「コモンズの悲劇」(他人より早くとって、自分の利益にしてしまおうという
             意識は残る)
 
 ・漁具や網目の制限をつけなくなる→若い魚も一網打尽にとられてしまう
 ・船の性能を上げる
   ↓
 TACをあっという間にとりつくしてしまう。

 日本のTAC自体が、生物学的な許容量(ABC「水産生物の持続的な利用のための漁獲量上限」)  を越えてしまっている場合があり、保護している効果がでるかどうか微妙である。


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