11月6日の放送から [番組スタッフから]
2009/11/06(金) 11:00 番組制作スタッフD

今月は4回にわたり「中世武士列伝」というテーマで、関西学院大学文学部の北村昌幸さんにお話しいただきます。特に今回は、古典作品から見る中世武士たちの足跡ということで、変革の時代を生き抜いた武士たちの伝記の中には、現代社会に生きる私たちにも学ぶべきものが多くあったのではないでしょうか。

さて、その1回目の今日は「平清盛のリーダーシップ」と題して、平清盛の実像に迫ります。清盛というと、平家に逆らった者を容赦なく処刑したり、後白河法皇の身柄を拘束して離宮に押し込めたりという数々の悪行を繰り返しているというイメージではないでしょうか。「平家物語」や「祇園精舎」の「奢れるもの久しからず」というのが清盛を表していると思われるのも当然でしょう。

しかしながら、「平家物語」というものは、決して事実を客観的な立場で描いているわけではないそうです。「平家物語」は、昔ながらの勢力、視点や価値観に寄り添っているところがあるそうで、この作品が世に出た鎌倉時代前期はそういう時代だったとのこと。もしも同じことを戦国時代にやったとしたら、極悪非道ではなく、革命の英雄になっていたかもしれないとも言われています。従って、平家物語の清盛像は、ことさら清盛の悪行を強調したという可能性はあるようです。

その一方、清盛の別の側面を伝えた物語もあります。鎌倉時代に書かれた「十訓抄」や「保元物語」「平治物語」では、家来たちには非常にやさしく思いやるのある人だったことや、大人の思慮分別のある落ち着いた感じのする理想的な武将像が描かれています。

軍記物語というジャンルは、一旦出来上がったあとで記事を付け足したり、書き換えたりする作業が行われるそうで、平治物語では、理想的な武将としての清盛像がだんだんと崩れていったのではないかといわれています。

「平家物語」の「奢れる人」の清盛像は、他の作品にも影響を及ぼしながら、長く主流として受け継がれてきたようです。それだけ「平家物語」というのは、力を持った作品だったと言えるのでしょう。

では、その辺りのことは、番組でじっくりとお聞きください。



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