10月9日番組から [番組スタッフから]
2009/10/09(金) 11:00 番組営業担当K

今回は「わが国保険システムの課題を考える」の2回目、「保険の基本的仕組み(2)」について、関西学院大学商学部教授・岡田太志さんにお話いただきます。

今回もたくさんの単語が出てまいりましたので、岡田さんのお話に沿いまして、用語や要点を以下のようにまとめさせていただきました。

前回の続き
●保険料の構成
保険料=①純保険料部分(リスクの原価)+ ②付加保険料部分(運営に必要な事業費等)


A.「損害保険料」の場合=①純保険料部分+②付加保険料部分 で構成される。
 ・付加保険料である事業費・代理店手数料・損保会社の利潤などがすでに商品の設計・販売段階で含まれている
 ・一部の積立型保険を除き、資産運用という側面がほとんどない
B.「生命保険料」の場合=3つの予定率(予定死亡率、予定利率、予定事業費率)を計算基礎に算定。
「予定死亡率」と「予定利率」→「純保険料」  「予定事業費率」→「付加保険料」

◆「予定死亡率」
過去のデータに基づいて、男女別に年齢ごとに死亡する割合を予測する数値。数値は生保標準生命表に基づく。
保険期間が経過していく中で、死亡率の実績値がその予定死亡率を下回ると・・・
→死亡保険金の実際の支払額は下回る→保険会社の利潤の一部に=「死差益」

◆「予定利率」
保険会社の資産運用に係わる利率
 実際の利率が予定利率を上回った場合・・・保険会社の利潤の一部に=「利差益」
 実際の利率が予定利率を下回った場合・・・保険会社の損失に=「利差損」「逆鞘(ぎゃくざや)」
  逆鞘・・・社会問題化。短期の逆鞘は長期的には解消される可能性があるが、長期になると経営に深刻な影響を及ぼす
 
◆「予定事業費率」
生命保険会社の新契約費と維持費に係わるもの。
 実績値としての事業費率が下回った場合・・・保険会社の利潤の一部に=「費差益」
 
 「死差益」「利差益」「費差益」・・・「三利源」
 生命保険 三利源による剰余金が発生した場合、一定割合(現在2割以上。以前は8割以上)を一定基準で各契約に割り当て契約者配当として分配する「配当型保険」と、配当の無い「無配当型保険」の2種類ある
契約者配当・・・「保険価格の事後的調整」とも理解できる

保障の内容が同じ場合、配当型の保険は無配当型の保険よりも保険料が高い傾向。
価格の事後的調整である将来の契約者配当を予想しながら、結果としての保険料の高低を判断していくことは、契約時点では判断しづらい。


●リスクに対する態度・・・①「リスク愛好者」 ②「リスク中立者」 ③「リスク回避者」の3タイプ
保険を利用しようとする人=「リスク回避者」

①「リスク愛好者」・・・
純保険料を払うよりも、事故を起こしたときに被るリスクを自身で抱えるいる無保険下の満足度の方が高い(事故を起こさなければ今の資産レベルを維持できる)。

前回の保険モデルを例にすると
・無保険下の資産水準
 確率1000分の1・・・0円    確率1000分の999・・・1000万円
(1000分の1で事故が起こり、資産を失う。それ以外は保険料も払わず、事故の損失も無い)
・純保険料1万円を負担して保険を購入した時の資産水準
 確率1000分の1・・・0円    確率1000分の999・・・999万円
(事故が起こった場合(1000分の999)は1000万円-支払った保険料1万円=999万円が保障される。)

②「リスク中立者」・・・
無保険下の満足度と純保険料を負担して保険を購入した後の満足度が同じ水準

③「リスク回避者」・・・無保険化の満足度よりも、純保険料1万円を負担して保険を購入したあとの満足度のほうが高い。
リスク回避者の許容する付加保険料の水準・・・リスク回避度の大小による(「限界分析をする」)
 リスク回避度が大きい人=付加保険料が高い水準でも許容するかもしれない。
 リスク回避度が小さい人=保険料が少し上がれば保険の購入を諦めるかもしれない。

経済主体がリスク愛好的であるがゆえに、付加保険料が発生する余地が生まれる。
一方で経済主体の満足度が高まると同時に、他方で保険会社にも利潤が発生。
保険経済現象が経済学的に論証される場合には、ほとんどの場合経済主体は「リスク回避的」との前提。


「リスク愛好者」「リスク中立者」・・・事業費や利潤などの付加保険料が発生する余地がないため、保険会社は保険を提供できない。

経済主体は「リスクを認知し把握している」ということが前提。
実際には自らのリスクをどこまで、どのように認知できているか。
   ↓
保険約款の内容を正確に理解することが、合理的な生活設計に基づく保険の上手な利用のためには不可欠な前提
   ↓
保険は将来に向かってのリスク保障。
保険について考えるということは、自身や家族の将来、自身のこれからの生き方について考えること。


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