8月15日放送から [番組スタッフから]
2008/08/15(金) 14:57 番組営業担当K

今回は「伝説と歴史意識」というテーマでお話をいただきました。

今回はおもに「伝説」について解説をいただきましたが、伝説は昔話と違って「いつ」「どこの」「誰の」話なのかが明確であること、そしてそれが詳しければ詳しいほどいい。それを語り伝えている社会の人々にとっては実際にあった歴史的事実であると信じられていて、また伝説を語る人もそれが事実であることをできるだけ伝えようとして語るという点が大きな特徴と解説いただいています。また、ほとんどの伝説は歴史学的事実ではなくても、それを語り伝えてきた社会の人々にとっては紛れもない歴史的事実と考えられてきたこと、近代以前、「学問的歴史学・近代学校教育が始まる以前の歴史」では、一部の学識者を除いて伝説しか “選択肢”がなかった、ということです。


話が日本のことではなく国外の話になってしまって恐縮なのですが、
私は高校時代に世界史に興味を持ち、世界史の先生になりたいと思い大学も史学科に進んだわけですが(何の因果か今はラジオ局で働いていますが 笑)、高校時代に世界史に興味を持ったのが紀元前におこった「伝説的な史実」たちに惹かれたらです。

その中でも特に一番好きなエピソードが「トロイの木馬」の伝説(伝説?史実?)についてです。
ホメロスの叙事詩の中で書かれたトロイア戦争の記述で、ギリシア軍が難攻不落のトロイを攻めるため、夜な夜な木製の大きな木馬(中に人間が入れる)を城前におき、それをトロイの門番たちが「降伏宣言」「戦勝記念」と勘違いし城内に木馬を引き入れた途端、木馬の中から兵士が出てきて、城の扉を中からあけ、隠れていたギリシア兵士たちが場内に一気に攻め込み陥落させる・・・というエピソード。またこのトロイア戦争自体の発端が女性をめぐる争いだったということ。当時の世界史の先生が語ってくれたこのエピソードに強く関心を持ち、このエピソードが一気に私の歴史への興味に引き込み、さらに将来の目標まで決めてしまったわけです(目標はかなっていませんが 汗)。

歴史に興味を持ったのはこのようなエピソードがおもしろい(interesting)と思ったこともあるのですが、もうひとつ、このような「ホンマかいな?」と思うようなことがこの科学が発達した現代で「教科書」に載っているということです(トロイの木馬のエピソードについてはシュリーマンによって「史実」として立証されていますが(木馬伝説自体の立証というよりはトロイ・ミケーネという都市の存在を明らかにしたといった方が正確なのでしょうか))。
また自分の周り(日本国内)のもっと外側(国外)にはもっと大きな歴史と世界があることを感じたことでした。「自分の小さな存在」を実感し、自分を取り巻くことを知りたいと思ったことが私を歴史の世界に引き込みました。だから伝説には感謝をしなければいけないなと、収録の時スタジオサブで山さんのお話を伺いながらつくづく思いました。
世界全体の歴史の中ではエジプトや中国などにもたくさんの大好きな伝説的なエピソードがありますが、書き出すときりがないのでこの辺で(笑)。

山さんは伝説の研究に興味をもったきっかけの一つに「異人殺し伝説」の研究に触れたことをお話されていますが、伝説はそれを描いている時代に必ずしも語りだされたわけではないということが告げられていて、「その時代の『いま現在』・『その瞬間』」の必要に応じて過去の物語である伝説が伝えられているというわけであるとお話されています。
あまたにある伝説が「時代のニーズ」によって形を代え、いい意味で「利用」されてきたことは、人々が困難な時代を生きていく、生き抜いていく上で大きな力と教訓になるんですね。

で、いつも思うのが、これらの伝説たちの「結果が逆になっていたら、今頃世界はどうなっているのだろう」(例えばトロイの木馬を場内に引き入れなかったらどうなっていたのだろうか)ということをいつも考えてしまいます。
歴史や伝説に「たら・れば」はないのですが、結果が逆になっていたら回りまわって自分は今ここに存在していないのではないだろうか・・・と。


コメント