極私的、新潟大賞典の回顧。 [山本直の修行日誌] [中央競馬実況中継]
2017/05/08(月) 18:35
こんにちは、山本直です。

よく考えたら(いや、よく考えなくても)このコラムのタイトルは「山本直の修行日誌」です。私事ですが、最近twitterを始めまして(リンク)、新潟の"美味しい話"はそちらにつらつらと上げていったので、たまにはマジメに実況の反省を書こうと思います。

小塚アナも書いていましたが、今回は「新潟の芝」に話を絞ってみましょう。数字で言いますと、直線の長さは658.7m。いわゆる"最後の直線"としては日本最長です。それを踏まえ、ペースは緩みやすく、ほとんどの馬が余力を残して直線コースを迎えます。内回りの直線が358.7mしかない(とはいってもJRAの標準的な長さではありますが)こともあって、内回りと外回りのレースで我々実況アナウンサーが見る直線の景色は全く違ったものになります。

昨日、日曜日の後半6レースの実況を担当しました。9、10Rが内回り、メインの新潟大賞典は外回りでした。映像をご覧になれる環境の方はご覧いただければと思うのですが、9Rの上位争いも、実況としてはなかなか捌きに苦労したレースでした。レースはハイラップで流れたものの、先行各馬が脚を残して直線を迎えます。公式映像のタイム表示で50秒くらいのところでは、最内から6・7頭分のところまでに馬群が固まっています。この中から、より伸びそうな馬、上位が望めそうな馬を探して、口にしていく作業です。

そこから200mほど先、1分02秒のところで、勝ったトウショウジャイロを中にして、内にいる2頭、外の3頭、合わせて6頭が勝負圏内かな、と思いました。コメントとして拾えていない馬を拾って、ゴールまで3秒弱、6頭の名前を出すには短い時間です。最後に言ったのは「横に広がっているが、中で抜けたトウショウジャイロ、ゴールイン」。2着争いはゴール後に圏内の4頭の名前を言うのがやっとでした。細かく書いたつもりですが、これは単純な「接戦の難しさ」で、どこのコースでもあることです。

続いて、新潟大賞典。外回り、重賞クラスのハンデ戦、16頭立て。さすがに"覚悟を固めよ"という条件ですね(笑)

公式映像の1分32秒あたり、「ずらっと内から外まで馬場いっぱい」と言ってみましたが、これが新潟の外回りらしい馬群の形です。逃げたトーセンレーヴはスタート直後こそ内に寄せませんでしたが、3・4コーナーはラチ沿いで回って、この200mほどで馬場の真ん中まで進路を外に持って行きました。この時点でわずかに先頭と分かる状況です。

内からマイネルフロストとサンデーウィザードが並びかけて、1分38秒のところで3頭が横並びになります。並びかけた2頭に脚があることは分かりますから、この争いに加わってくる馬がいるかどうか、を次に考えます。新潟外回りあるあるといえば「見えないところから飛んでくる」なので、外に目線を振ってみると、1番人気のメートルダールとロンギングダンサーがいて、内外離れているもののトーセンレーヴと同じくらいのところまでは来てそうに見えました。

この後、マイネルフロストとサンデーウィザードの名前を2回続けて呼んでいるのですが、どちらかが前に出るか?と思っていたら並んだままだったことと、メートルダールの伸びが前まで届きそうかを測っていました。ただ、さすがに届くほどの脚には見えなくて、フルーキーの伸びが目立って見えて3着争いも接戦になりそうでした。もうゴールまでどちらかの接戦は決着がついてくれ、ついてくれ......分からない!ままゴールに入りました。

正確に言えば「サンデーウィザードが勝っているだろう、メートルダールが3着だろう」とは思っています。でも、お伝えできるほどの差ではなかったのです。実況として口にする基準として「分からなかった」です。

本当にいいレースでした。毎度のことながら、ハンデキャッパーさんも絶妙なハンデを設定されていたのだろうと思いますし、上位2頭はお互いにベストと思える走りをしていた、というコメントがジョッキーからも聞かれたようです。

マイクのカフ(スイッチ)を切って、一番最初に思ったことは「新潟らしいレースだなぁ」ということでした。日本酒も食べ物も美味しいモノが揃ってて、夜が楽しい街ですが、アナウンサーとして対面する新潟競馬は本当に"ドS"。"Umai"と"Sadistic"がある新潟。UとS。そういえばそんな建物がどこかにあったような......。

では、また来週!