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中央競馬実況中継

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こんにちは、山本直です。

先週金曜日から福島にいて、月曜日の休みを挟んで、今日は美浦トレセンに泊まります。いよいよ牡馬クラシック第一弾を迎える皐月賞の共同会見のインタビュアーを担当します。詳しくは明日の競馬が好きだ!、競馬実況webの更新でお伝えします。

今日の東京は雨。東京タワーすら上部は見えなくなるくらい、低い雲が垂れ込めています。泊まり支度をしてきているので、大荷物で電車に乗ることを考えるととても気が滅入ります。いや、仕事だから仕方ないのですが......。

さて、今日は実況アナの必需品・塗り絵の話をします。このブログを読んでいる方のほとんどはご存知だと思いますが、実況アナが出走馬の名前と騎手が着る勝負服を書いたカンニングペーパーを"塗り絵"と呼んでいます。

そうそう、今月1日に日経新聞電子版に中野雷太アナが書いた「競馬実況アナ日記(http://www.nikkei.com/article/DGXMZO14644000Z20C17A3000000/)」が掲載されました。このコラムは隔週土曜日更新で、各アナウンサーが競馬に関するいろいろな話をします。ぜひご覧ください。

この中野アナのコラムにも塗り絵の話が出てきました。基本的なことはそちらに譲るとして、今日は「なぜ手書きなのか」にこだわって書いてみたいと思います。それぞれのアナウンサーによって違いもありますし、あくまで私・山本の視点で書いているということを前提に読み進めていただきたいと思います。

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少し前に、阪神競馬場のバックヤードツアーで実況席を見学していただきました。その時に「なぜ塗り絵を手書きで書かれるのですか?」という質問があり、先輩アナが「プリンターがないので......」と言っていました。確かにその通りで、この局が競馬実況を始めた60年前に、今と同じプリンターやパソコンが流通していたら、私たちの塗り絵もデジタル化されていたと思います。

実際、デジタル世代(?)にあたる私の塗り絵の台紙はExcel(表計算ソフト)で作っていて、会社でその都度印刷をしています。でも、出走馬の名前や勝負服は手書きで書いています。少なくとも、今の時点でこのスタイルを崩すつもりはありません。それは、「常に最高のフォーマットで戦える」からだと、今は思っています。


(明日、船橋で行われるマリーンカップの塗り絵をしてみました)

このExcelシートは、今までに何度かバージョンアップ(自称)をしています。右下に寄せて印刷をしたこと、勝負服の輪郭の設定を変えたこと、勝負服の欄の上にもうひとつメモ欄を設けたこと、、、実況アナとしてこれは必要だな、と思うたびに更新してきました。

印刷を右下寄せにしたのは「塗り絵を留めておくクリップボードが左側で挟むタイプだったこと」「紙がペラペラとはためかないように右上と右下にクリップを留めること」が理由。

勝負服の上に欄を設けたのは「各馬の脚質を分かりやすく書きたいな」と思ったからです。逃げ馬には◎、先行馬には何番手にいる馬かを数字で、差し馬は△、追い込み馬は×。いわゆる"展開"を実況する以上、各馬のキャラクターを頭に入れておきたいと思った実況デビュー前の私。しかし、そこまで実況中に頭が回る人間ではないと気付いて、塗り絵にそういう欄を作ればいいじゃないか、ということになりました。

馬名を書く欄が長いのは、黒いペンで馬名を書くほかに、違う色で付帯情報を書き入れるため。重賞レースの実況であれば「○○年ぶり」とか「かつてこの馬(騎手)が勝った重賞は何だっけ」とか、重賞でなくても区切りの勝利数が近い騎手は「(例)横山和生 99→100勝」と書いていたりします。

ここまで"カスタマイズ"ができるのは手書きだからこそ。必要な情報が多いレースは馬名を詰めて書くこともできます。

競馬の仕事を始めた当時、手書きは時間も取られるし、正直どうなんだ、とは思っていましたが、「常に最高のフォーマットで戦えるから」手書きであるのだということです。

最大の敵は、きれいな字を書けない私の右手だな(笑)

では、また来週!

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