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『パコと魔法の絵本』、中島哲也監督の現場

2008/9/23(火) 21:26 投稿:H  記事URL トラックバック ( 0 ) コメント ( 0 )

7月29日、東京国際フォーラムで。左上が中島哲也監督。

7月29日、東京国際フォーラムで。左上が中島哲也監督。

 豪華キャストが実写ドラマと、後半には3DのCGキャラクターで登場し劇中劇を繰り広げるビジュアル・チャレンジが話題の映画、『パコと魔法の絵本』が上映中だ。原作(後藤ひろひと作)の舞台は、『MIDSUMMER CAROL ガマ王子対ザリガニ魔人』。

<STORY>
 ワンマン社長だった大貫は、入院先の患者や医師、看護婦に怒鳴り散らして嫌われていた。ところが、交通事故で記憶障害を負った少女パコと出会って心を通わせるうち、人の温もりを取り戻す。絵本が大好きなパコを喜ばせるため、『ガマ王子対ザリガニ魔人』の芝居を演じようと、周囲に呼びかける。

 大貫は、役所広司さん。パコは、アヤカ・ウィルソンさん(カナダ人と日本人のハーフ、映画初出演)。そのほか、妻夫木聡さん加瀬亮さん(一人二役)、山内圭哉さん土屋アンナさん小池栄子さん国村隼さん阿部サダヲさん劇団ひとりさん上川隆也さん。この俳優陣が判別つかぬほどの特殊メークと奇抜な衣裳で登場する。貫地谷しほりさんやデヴィ夫人、木村カエラさんらのカメオ出演にも注目すると笑い増しだ!
 監督は中島哲也(なかしま・てつや)さん。CMディレクターとしてヒット多数、映画『下妻物語』、『嫌われ松子の一生』に続く。


監督の中島哲也さん

監督の中島哲也さん

 7月29日、番組DVDコーナーの鈴木ともみが、中島監督に制作の舞台裏を聞いた。
Q.実写とCGの融合にチャレンジした理由は?
A.大貫という男を筆頭に病院の患者たちが、パコのためにお芝居をしてあげる。それをパコが観ているうちに、絵本の世界に変わっていく。舞台を観て楽しければ、感情移入して目の前のキャラクターたちが本当に見えてくるんですね。それをビジュアル化しようとチャレンジしました。
Q.その点で、ご苦労や工夫が多くあったと思います。
A.撮影の約半年前から絵コンテを描いて、事前にカット割りを決めることが大切です。それでCG屋さんと打合せをして、1カットが何秒かも決めて。それを撮影するという細かい作業でした。撮影後は、CG制作に十ヶ月ほどかかりました。
Q.どんな風に撮影されたのでしょうか。
A.実際には、景色がブルーバック、グリーンバック(合成素材を撮影する際の背景色)の前で俳優さんたちが演技をしますから、迷わないように説明するのが大変でした。あと、撮影現場では、仮のCGが出来上がっていましたので、それを編集して、間違っていないかを確認しながら撮影していくという普段より面倒な作業があります。でも、役者さんたちが演じにくい状況でも、テンションを下げずにやってくれたので、CGとカットバックしたとき、面白い映像になったんだと思います。
Q.役所広司さんと気付かないほどの特殊メークですが、役者さんたちがノッテる。生き生きしていますね。
A.特殊メークをあのように施すことで、逆にパコちゃんを見つめる大貫さんの目線とか、細かい芝居が見えてくる。フルメークするというのは、芝居を殺すとか、限定するとかではなく、逆に演技の手助けができるのではないかなという気がします。のびのびした独特の芝居に繋がって、メークは正解だったなと思います。
Q.アヤカ・ウィルソンさんについて教えてください(撮影当時9歳)。
A.モデルから子役まで、演技力を気にせずに幅広くオーディションしました。パッと会ったときに、「この娘がパコちゃんだな」と思えた。アヤカちゃん自身が持つ明るさとか元気さが、パコちゃんには大事だと思えたので。演技経験はなかったのですが、実際映画のなかで輝いていると思います。
Q.大貫とパコちゃんのやりとりに涙する大人がちらほらいました。
A.大貫という意地悪な男がパコちゃんと出会うことによって、どれほど人間的に変わっていくかというのが、この映画の一番大事なところだと思ったんです。あれだけのメークをして、ドタバタのコメディーとギャグが沢山ありますが、一番気を遣ったのは、心理変化の部分です。特に大貫さんとパコちゃんのシーンは慎重に撮りました。のびのびやっているパコちゃんの芝居を受けていく役所さんの芝居は、演出家として見ていましたけれど、感動することが沢山ありましたね。
Q.大貫の「あの子の心の中にいたいんだ」という言葉が印象的でした。
A.役所さんの力ですね。原作者の後藤さんもおっしゃっていましたけれど、生きていても誰の記憶の中にも残っていない人は死んでいるのと同じだし、もし命がなくなってしまっても、生きている人の心の中に残っていればその人は生き続けていることと同じですから。人間が生きている意味ってなんだろうと考えて、そういうことを言っている映画だと思うんですよ。
Q.土屋アンナさんは、中島監督作品に次々に出演されていますね。
A.ちゃんと仕事をするという意味では、『下妻物語』以来でした。『嫌われ松子の一生』には、ちょこっと出てもらっただけなので。すごく役者として成長したなという思いがありました。自分が演じる役柄のテンションを確実に掴んでいたし、どうしても僕は映画を作るときに、土屋さんにいて欲しいなと思うくらい魅力のある女優さんで、その魅力がどんどん増していると思いますけれど。撮影の前日に、深酒をして二日酔いみたいな顔で現場に入ってくるのはもうちょっと控えたほうがいいかなって思いますが(笑)。

 素人相手に制作手法を丁寧に熱く語ってくれる監督は珍しい。しかも、話の最後にオチをつけたり、ラジオのインタビューを前提に全力でお話してくださる。口が悪い監督という噂とか、極彩色の映像タッチからは想像できぬ気持ちの良いお人柄だ。「自分自身ができるエンターテインメントの全てを投入した作品。ものすごくダメな人間たちがパコちゃんという天使のような少女に出会うことで、ある瞬間から本当に優しい人たちに変わるという古典的な映画にしたつもり」という中島さん。作ることが好きで、自ら汗をかいている様子が伝わってきた。映像はドギツイのに、愉快で笑って泣けるコメディーだった。 By Director H.

中島哲也監督『パコと魔法の絵本』。
全国東宝系で上映中。
主題歌は木村カエラさん。



 

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