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パウロ・モレッリ監督に聞く『CITY of MEN』 [クローズアップシネマ]

2008/8/22(金) 00:20 投稿:H  記事URL トラックバック ( 0 ) コメント ( 0 )

『シティ・オブ・メン』

『シティ・オブ・メン』

ブラジルの都市リオデジャネイロの貧困街ファベーラを舞台に、父親をテーマに描いた映画『シティ・オブ・メン』が公開中。

<ストーリー>
ブラジルのファベーラ。2歳の息子がいるアセロラ(ドグラス・シルヴァ)と、父親を知らずに育ったラランジーニャ(ダルラン・クーニャ)は、無二の親友だ。18歳になったラランジーニャは仮出獄中の父を遂に見つけ出す。父との生活を優先したくなったラランジーニャは、アセロラと距離を置くようになる。その矢先、ブラジル人ですら恐怖を抱くファベーラの丘では、ギャング抗争が勃発。アセロラは抗争に巻き込まれ、ギャングのボスであるマドゥルガド(ジョナタン・ハーゲンセン)から、アセロラの父がラランジーニャの父親に殺された事件の真相を知らされる。因縁を背負う関係だった親友の2人。丘で始まった銃撃戦のなかで2人が会う――。

日本で5年前に公開されたフェルナンド・メイレレス監督『シティ・オブ・ゴッド』。同じファベーラを舞台に、麻薬や強盗で生活するストリート・チルドレンの抗争を実話に基づいて描いた犯罪ドラマだった。第76回アカデミー賞で監督賞、撮影賞、編集賞、脚色賞の4部門にノミネートされるなど、世界中で反響を呼び、本国でTVシリーズ化された。第二章となる映画を、TVシリーズから演出に参加しているパウロ・モレッリさんが監督した。5月にPRで初来日したモレッリ監督に、竹川アナが聞いた。


PAULO MORELLI さん

PAULO MORELLI さん

Q. プロデューサーは、前作の監督で、『ナイロビの蜂』でも知られるフェルナンド・メイレレスさんです。この映画の企画について、どんな話し合いをされましたか。
A. 今回のメイン・コンセプトは、フェルナンドと一緒に創り上げました。それは、ファベーラという地域の父親の不在でした。また、父親像を掘り下げることでした。それを決めた後は、100%自由を与えられて、物語を好きに作らせてもらいました。
Q. 主演の2人は、どんな役者でしょうか?
A. 実は、主演のダルランとドグラスは、11歳からそれぞれ今回演じたキャラクターを演じています。メイレレス監督が映画『シティ・オブ・ゴッド』以前に、2000年に『PalaceⅡ』(ベルリン国際映画祭パノラマ部門最優秀短編映画作品賞受賞)という短編を監督した時に、ラランジーニャとアセロラというキャラクターたちが生まれています。本作の劇中で、フラッシュ・バックで若かりしころのキャラクターの姿が映像で出てくるのですが、彼らを追い続けてきたからあった。俳優として素晴らしく成長した彼ら。前は直感で演技をしていましたが、何年も作品に関わったことによって俳優としての技術を学び、今はプロフェッショナルになりましたよ。
Q. 2人の役者にとって、モレッリ監督やメイレレス監督は父親みたいな存在ですね。
A. やはり2人には思い入れもありますよ。TVシリーズ『シティ・オブ・ゴッド』で、ドグラスが米国のエミー賞の地方選抜で最優秀男優賞にノミネートされ、NYに一緒に行きました。メトロポリタン美術館に連れて行ったのですが、まるで自分の息子に世界の文化を見せているかのようでした。「本当に素晴らしい体験をした」と言ってくれました。
Q. BRICsの一角のブラジルとそのファベーラ。これが同じブラジルなのでしょうか?
A. ブラジルという国には格差があると思います。私は3つの層がある国だと思っていますよ。一つは、中流階級。法の下で生きていて、税金も払っている人たちです。二つ目は、映画で描かれるファベーラの住人。自分たちの法の下に生きていて、なかでも特に麻薬売買に関係する人は、自分なりの法を持ち、人々にその法を強いることもある。納税せず、自分なりの商売で生き延びている。最後は、法律よりも上にいる人たちです。政治家ですね。通常の法は、彼らに当てはめることはできない。不正を犯しても罰せられないのです。
Q. ブラジルの好景気は、映画製作にも良い影響がありますか。
A. ありますね。前大統領から現職に引き継がれ、ブラジルは安定した経済状況にあります。各業界が好調です。映画業界も然り。経済の安定だけでなく、私が「いいな」と思うのは、新しい世代の映像作家で、新たな才能が、世界に通用するブラジル映画を製作しようとしているのが見られることです。
Q. 約5年もファベーラを題材に撮ってきましたが、今後の作品は?
A. 現在8本の脚本を開発中ですが、共通のテーマは「遺産"legacy"」です。
何を受け継いでいけるのか、ブラジルの文化や社会的な、個人的な遺産を扱っています。今回の『シティ・オブ・メン』にも通じるところがあります。本作も「父から息子への遺産」、何を遺産として渡すかとか、父がいないからこそ何を受け継げていないのか、ということを描いています。



ブラジル大使館での会見で

ブラジル大使館での会見で

パウロ・モレッリ監督は、1956年ブラジル生まれ。メイレレスさんとは、ビジネス・パートナーだ。英語でインタビューに応えた。アセロラ役のシルヴァさんは、メイレレス監督『ブラインドネス』(日本公開11月)にも出演している。監督は会見で、作品には生涯の友情、父の不在(父は誰か)、青年の成長物語の3つの主要な要素があると挙げた。貧困、麻薬、暴力、家族事情が人間社会に与える影響を考えさせられ、劇中の銃音が印象的だった。新興国ブラジルの一面を観て欲しい。 By Director H.


『シティ・オブ・メン』渋谷シネ・アミューズほか全国公開中。


 

阪本順治監督、渾身作。 [クローズアップシネマ]

2008/8/12(火) 18:22 投稿:H  記事URL トラックバック ( 0 ) コメント ( 2 )

阪本順治監督

阪本順治監督

 タイでの幼児売買、違法な臓器移植の現場を暴く社会派ドラマ『闇の子供たち』が、現在、渋谷のシネマライズで公開中だ。原作は、『血と骨』の梁石日(ヤンソギル)さんの同名小説。主題歌は、桑田佳祐さん『現代東京奇譚』。監督・脚本は、『KT』『亡国のイージス』『魂萌え!』や藤原竜也さん主演『カメレオン』が上映中の阪本順治さん。

<キャスト>
江口洋介/ 新聞記者、南部浩行
宮﨑あおい/ NGO活動員、音羽恵子
妻夫木聡/ フリーカメラマン、与田博明
佐藤浩市/ 病弱な子供の父、梶川克仁
豊原功補/ 南部の上司、清水哲夫

<ストーリー>
 タイ駐在の新聞記者、南部は若いフリーカメラマン、与田の協力を得て臓器密売に関する取材を開始する。貧しい農村から売られた子供は、売春宿に監禁され幼児性愛者たちの相手をさせられるか、エイズにかかればゴミ同然に捨てられ、健康でいても闇の臓器売買のため殺されてドナーにされるという。一方、理想を胸に秘めバンコクのNGO団体に加入した恵子は、売春宿の子供たちの実態把握と救出のため調査に乗り出すが、危険で思うようにいかない。取材で一時帰国した南部は、臓器移植を受ける子供の父に会う。

 1958年生まれ、『どついたるねん』で監督デビューの阪本順治さんに、竹川アナウンサーが公開前に聞いた。
Q.ショッキングな題材です。映画化するまでに時間がかかりましたか。
A.この映画と簡単には向き合えないと思いました。僕自身、知っているつもりでいただけで、全く無知だったことに気づかされてちゃんと知ることが必要でした。だから、まず原作を読んだ後に、取材をしたり、書籍を読んで実際を知っていきました。そして、たじろいだ自分がいて。その後は、ドキュメンタリーではなくて、劇映画は何ができるかということをテーマにつくりましたね
Q.虐待する側を描くことも難しかったと思いますが。
A.どこに問題の根源があるかってことに行き着かないといけないんですけれども、劇映画の監督として具体としてどうするんだということですね。観た人が、この映画は他人事ではないんだと、タイの問題ではなくて自分たちの問題として捉えてもらうには、どうすればいいんだと。これまで、どういう読後感で映画館を出てもらえればいいのかとか、何かそんなことで悩んだことはなかったのですが、今回はそれを突き詰めていったという感じです。
Q.幼児売買春、臓器密売という重いテーマを背負う上で感じたことは。
A.二つ危惧していたことがあって。一つは、他国を舞台にして、このテーマを背負うことが、何か一つ間違えば誰かを傷つけたり、タイの国や人々を侮辱することにならないかということでした。後は、原作にあるように、子供たちが虐待をされているさまを隠すのではなくて、あからさまに描写しようと決めたときに、タイの子役たちとどう向き合えばいいのかということです。どういう言葉を発すれば理解をしてもらった上で、演じてもらえるかと。この二つの大きな課題と危惧がありました
Q.タイの子役や大人が本作に触れて、どのような理解や反応を示しましたか。
A.参加してくれたタイのスタッフとか俳優さんも当然こういう事実を知っていて、ただそれがタイの国内でこれまで劇映画になることはなかったわけで。どこかで声をあげたいと思っていた方々が加わってくれたわけです。子供たちも、オーディションをして残した子供たちは売春婦という職業を知っていたり、自分と同じ世代の子供たちが自分と全く違う境遇で生きていることを知っていたりするんですね。だからそれをまず理解できる子を選んだんですけどね。自分が演じる役というのはどういう役なのか、なぜ裸になってもらってるのか。この映画が完成したら、こういう現実をもうやめよう、なくさなきゃいけないと。そういうふうに思ってもらうために撮影するんだと。
Q.タイでの撮影中の印象的なエピソードはありますか。
A.笑えるようなことは一つもないですよ。虐待側の大人たちをキャスティングするのも大変でした。裸になってもらうことが前提ですから。映画のテーマは理解してくれても、いざ裸体をさらすってことになると断ってくる方々も多かったり、逃げられたりしたし。僕だけではなくてスタッフが、このテーマに触っているっていう緊迫感っていうのがあって、ナーバスになっていたのは確かですね。 
Q.主役の江口洋介さんも大変だったと思います。
A.そうですね、江口さんは主役としてこのテーマを背負うわけですからね。自分自身と役柄との溝を埋める作業は大変だったと思いますよ。加えて、タイ語を延々覚えなきゃいけなかった。
Q.阪本監督作品常連の俳優、佐藤浩市さん(『トレカフ』『顔』『KT』『亡国のイージス』など)については。
A.ワンシーンに近いんですけど、この映画の根幹ですからね。佐藤浩市くんと鈴木砂羽さんが演じた親御さんの思いというのをお客さんがどう受け取って、どう引き裂かれるかというのは大切なワンシーンだったので。その場面を過分に表現してくれる役者というのが佐藤浩市くんしか思い浮かばなかったですね。
Q.劇中、南部とカメラマンが露骨に取材活動を妨害されるシーンがあります。撮影では実際にありましたか。
A.過去にドイツの映画人が同じテーマでタイに入ったときに、ホテルに拳銃を持ったマフィアが来て脅された。どっかの書籍で読んで緊迫はしました。でも、買う人間がいるから売るマフィアがいるわけで。それだけのテーマを扱っているってことですよね。何事もない様にするために、例えば、俳優さんには今回は僕らと一緒にビジネスホテルに泊まってもらって、できるだけ外出を控えてもらいました。ダラダラ撮影していると情報が漏れますからね。短期間(一ヶ月)のうちに撮って来ないといけなかったんです。普段は、日本国内の地方ロケでも、俳優さんだけでも良いホテルに泊まってもらったりするのですが。
Q.私のように観てたじろいだ観客に対して、監督はどんな声を掛けますか。
A.知っていただく、たじろいでいただいたら、この映画の最初の目的は達したかな。その後は、自分に何ができるかと思っていただいたら嬉しいんですけれど。これ(人身売買)が最近の出来事ではなく連綿と行われてきたことなので。自分も含めて目を向けなかった、日本人が海外で何をしているのかも含めてね。世の中の出来事は、表層的にしか自分の目に届いていないということを感じてくれればいいですね。
Q.映画館を出るときに、日本の普段の何気ない風景が違って見えそうです。
A.例えば、臓器移植に関して。子供の心臓移植を海外に求めるのはなぜなのか。カンパが集って手術が成功したという、それを美談としてしか受け取っていなかった。なぜこうなっているのか、という裏側を自分が映画を撮ってみて、初めて知った。ものづくりをしている自分がなぜこれを知らずに通り過ぎてきたんだろうという、悔しさですね。ご覧いただけたら、テーマ的にも持ち帰っていただきたいと思うし、持ち帰っていただくために劇映画としての技もたくさん要求されました。


 阪本監督が「強い印象を残す映画にしたかった」という通り、筆者は映画を観て原作を読み、この問題を考えるだけで胃の痛い思いをした。原作が、幼児売買の現場を、リアルにグロテスクに描いている。それを映像化しているため、目をそむけたくなるようなシーンが出てくる。重いテーマのため、気持ちがフラットなときにご覧いただきたい。取材中、細かい配慮を欠かさない監督に、作り手の思いが伝わってきた。
 By Director H.
『闇の子供たち』渋谷シネマライズほか全国順次公開中。


 

ポニョ旋風巻き起こす主題歌

2008/8/5(火) 16:05 投稿:H  記事URL トラックバック ( 0 ) コメント ( 0 )

7/19会見で

7/19会見で

 宮崎駿さん(67)原作・脚本・監督の新作『崖の上のポニョ』。
 金魚の女の子ポニョが、崖の上の一軒家に住む5歳の人間の男の子、宗介に出会い、お互いに好きになる。人間になりたいと願うポニョの物語。
 ポニョと宗介、宗介と母リサの心温まる絆が描かれている。主人公の恐れを知らず人間の世界を目指す様は、希望や生命力に溢れている。
 アニメーションにとって水は難しい被写体と言われるが、海の色彩の豊かさと波の迫力は圧巻で、色合いも癒されるほど美しい。手描きにこだわったという。劇中の海は瀬戸内海の風景にインスピレーションを得ている。
 全体的に暗喩の表現も見られるが、プロデューサーの鈴木敏夫さんが完成報告会で「監督は子どもたちのためにつくった」と言っている通り、子ども向けのファミリー映画に仕上がっている。

<声のキャスト>
宗介の母リサ/山口智子
宗介の父耕一/長嶋一茂
ポニョの父フジモト+水魚(1人2役)/所ジョージ
ポニョの母グランマンマーレ/天海祐希
ポニョ/奈良柚莉愛
宗介/土井洋輝


 本作のエンディングで流れる主題歌が話題だ。久石譲さん作曲・編曲、おやじユニットの藤岡藤巻(藤岡孝章・藤巻直哉)と子役として活躍中の大橋のぞみが歌っている。発信力のある歌。会見で曲について聞かれた宮崎監督が舞台裏を明かした。
 「久石さんが『ポーニョ ポーニョ』とフレーズだけ最初にピッと書いて、これでいきましょうということになりました。赤ちゃんが生まれたばかりの近藤勝也さん(作画監督)が、娘とお風呂で一緒に歌える曲にと詞を考えて、結果的にあのような歌ができたんです。藤岡藤巻両氏には、プロデューサーが『いつでも断れるから』と試しにやってもらったんですね。エンディングのクレジットに関しては、肩書きを全部外して『あいうえお順』に纏めました」。藤岡氏はレコード会社で音楽プロデュースを、藤巻氏は広告会社で映画プロデュースをしてきた。宮崎アニメのキャスティングは、個人的理由で決まることが多い。「♪ポーニョ ポーニョ ポニョ さかなの子 青い海からやってきた」映画館から出たら思わず口ずさむに違いない。 By Director H.

『崖の上のポニョ』全国東宝系で公開中。


 

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